静かな祈りとともに
法然院の方丈に伺うのは2回目だった。
演奏と環境音が奏でる音に浸れる場所。
実は2週間前くらいから、なぜとなくキャンセルしようかと考えていた。
でも、方丈でクラヴィーコードの音を聴きたい、笙の演奏との共演をその場で聴きたいという思いが強くあった。
地震があり、災害があり。そして2日前には京都へ向かうのに使おうと思っていた京阪までもが止まった。避難されている人や災害にあっている方がいる。このような時に何かできるわけでもない、と思うのは簡単だけれど。
ひとりひとりの力、知恵、感覚を活性化して対応対処していくことが求められている。
前日の夜まで悩んだが、降っていた雨が止み、止まっていた電車が走り出した。そしてわたしはいくことに決めた。
今回のCDのタイトルは『silent prayer』沈黙の祈り人
開け放たれた方丈の庭園に細い息で染み込んでいくソプラノサックスの音。
はじめはひぐらしや、カラスの鳴き声などが共演する。
そしてクラヴィーコードの演奏。グレゴリオ聖歌をもとに即興で奏でるという。
夕闇の深まっていく中、そこに蛙の声、虫の声が聴こえてきた。目を瞑り音に傾く、そして目を開けると微かに木々が光を帯びる暗闇の庭に変化していた。
ピアノはたくさんの聴衆に聴かせる形で作られているが、クラヴィーコードは神に向かって捧げるような作られ方をしていると説明してくださった。
まずは、祈り、そこから何ができるか、静かにはじめたいと思う。
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